2025/08/07 11:03

デザイナーの萩野です。

催事で聞かれた「鉄フライパン」について


先月、近鉄百貨店あべのハルカス本店での催事に参加した際、多くの方から「鉄フライパン」について質問をいただきました。その時、お客様は製品の違いがよくわからず、選び方に悩んでいると気づきました。催事後、大阪市内の売り場を回ってみて、その理由がなんとなくわかった気がします。


最近の家庭用品売り場には、刺激的な商品が少ないと感じます。売れないこともあってか、競争がなく、どこも似たような商品ばかりが並んでいます。一方で、ネットでは「錆びない!」「軽い!」といった極端な表現の広告が目につきます。しかし、フライパンはあくまで道具。お客様は、道具一つで料理が劇的に上手くなるわけではないことを知っています。ただ、毎日使う道具だからこそ、自分が気持ちよく使えることが大切なのです。


他の素材のフライパンはどうでしょう。 ステンレス製は「錆びにくい」ですが、油が馴染みにくく、熱伝導も悪いため熱ムラができやすい欠点があります。クラッド鋼のように改良されたものもありますが、完璧ではありません。フッ素加工のフライパンはご存知の通り、加工が消耗します。また、アルミ製のものが多く、熱伝導は良いものの、蓄熱性が低いという特徴があります。


では、なぜ鉄フライパンが良いのでしょうか。理由はシンプルです。熱伝導が良く、調理面にムラができにくいこと。そして、ある程度の厚みがあれば、食材を入れた際に「ジュッ」という良い音と共に旨みを閉じ込めることができるからです。 もちろん、鉄フライパンにも欠点はあります。


1.手入れの面倒さ: 錆びやすい

2.余熱の難しさ: 不十分だと食材がくっつきやすい

3.重さ: 他の素材に比べて重い


FD STYLEの鉄フライパンは、これらの欠点を克服するために開発されました。 鉄表面を窒化処理で硬くし、さらに「四三酸化鉄」の皮膜を発生させるOXYNIT加工(特許技術)により、錆びにくく、くっつきにくい鉄フライパンを実現しました。重さについては、板厚1.6mm(玉子焼きは2mm)あるため、ある程度の重さがあります。しかし、この厚みがあるからこそ十分な蓄熱ができ、「旨み」を閉じ込める理想的な調理が可能になるのです。催事では、0.4mmの板厚の違いでどれだけ重さが変わるか、お客様に持ち比べて体験していただいています。


「鉄フライパンなのに錆びない!」や「鉄フライパンなのに軽い!」といった広告表現をよく見かけますが、これは「程度の差」でしかないと私は考えています。本当に伝えたいのは、誇大な表現ではなく、道具の本質的な良さです。FD STYLEは、この道具の本質を追求し、お客様に長く愛される製品を届けたいと願っています。