2025/09/02 17:37

FD STYLEの製品は、ステンレスなのに「黒い」ものが多いことに気づかれた方もいらっしゃるかもしれません。

ステンレス製品といえば、鏡のようにピカピカと光るシルバーが一般的です。堅牢で錆びにくく、美しい金属の質感。それが当たり前の中で、私たちはなぜ、手間をかけてまで「黒」を選んだのでしょうか?

この色には、私たちが道具に込めた、3つの大切な想いが詰まっています。

1. 料理を「視る」ための黒

私たちの道具は、決して主役ではありません。主役は、あなたが心を込めてつくる料理、そしてそれを囲む人々の笑顔です。

ステンレスのシルバーは、光を反射し、時に料理の邪魔をしてしまうことがあります。そこで私たちは、光を吸い込むようなマットブラックを採用しました。この色は、食材の色を際立たせ、料理そのものに集中させてくれます。

特に、包丁などの刃物を使うとき、黒い刃は食材との境目をはっきりと映し出します。道具が主張するのではなく、あなたの感覚を研ぎ澄ませる手助けをする。それが、私たちの考える「黒」の役割です。

2. 美しさを保つための黒

一般的に、塗装された製品は「傷がつきやすい」と思われがちです。しかし、FD STYLEの製品にとって、小さな傷は「経年変化」として受け入れるべきものです。

黒く加工された道具は、使い込むほどに小さな傷が刻まれ、それが一つひとつの道具の「歴史」となります。その歴史を大切にしたいからこそ、私たちは道具をより丁寧に扱い、愛着を持って使い続けられます。

この「黒」は、使う人だけでなく、製造する燕三条の職人たちにも、より一層の注意深さをもたらします。完璧さを追い求めるのではなく、その道具が持つ物語を育んでいく。それが、永く愛されるための私たちの配慮なのです。

3. 暮らしに馴染む黒

和食、洋食、ジャンルを問わず、どんな食卓にも馴染むのが黒の魅力です。鉄鋳物のような重厚感がありながら、ステンレスの軽やかさを併せ持つ、独特の存在感を放ちます。

食卓やキッチン空間に、黒い道具が一つあるだけで、全体がキリリと引き締まり、洗練された印象を与えます。他の調理器具の色や素材とも調和し、あなたの暮らしの中でさりげなく、確かな存在感を放ち続けるでしょう。